COLUMN

世界初!?海ごみを使ったリサイクル年賀状を作成。「環境問題啓発」を真剣に考える広告系ベンチャーの取り組みの裏側

FUSIONでは2025年の年賀状を、“海洋プラスチック”をリサイクルして完全オリジナルで作成しました。
本年賀状によって、社会や環境に配慮する1年にしたいという想いをクライアントの皆様に新年のご挨拶とお届けするとともに、関係者の皆様とも一緒に取り組めるように意識啓発を行うことが目的です。

おそらく世界初であろう、海洋プラスチックで作られた年賀状。今回は一体なぜ創業5期目の広告系スタートアップであるFUSIONがこの年賀状を作ることを決めたのかや、制作の裏側を紹介したいと思います。

なぜFUSIONが年賀状にこだわるのか

FUSIONは「社会の発展と、人々の幸せを一緒に実現する。」というvisionを掲げ、より持続可能に誰もが幸せに暮らせる社会をつくることを目指しています。
こういった想いを伝える手段として、これまでも環境に優しいオリジナル製品の作成、ダイバーシティに関する勉強会の開催などを行ってきました。

そして今回、たくさんのクライアントの方にお手紙を送る機会である“年賀状”でも会社のvisionを伝えたいと考え、社会課題そのものと、その解決への姿勢を示す年賀状を作るプロジェクトが立ち上がりました。

社会課題は数多く存在しますが、多くの方に関係があり、今取り組むべき社会課題が伝わるものにしようと、ハガキの素材選定から発送まで広報として企画、実施しました。

苦戦しながら工夫を重ねたハガキ作り

1.素材選定

まずはさまざまな種類の再生紙やリサイクルできる素材でできた紙などをリサーチしました。土に還る紙、ロスフードを使った紙、フェアトレード認証紙など魅力的な紙があったなか、最終的には、デザインでのオリジナリティを出せ、かつインパクトのある海洋プラスチックを使ったハガキにしようと決まりました。
また、海ごみの問題は日本が抱えるSDGsの未達成目標でもあり、海洋国家として深刻な問題であるためより多くの方に伝えるべき課題だと思ったからです。

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「14番 海の豊かさを守ろう」は未だ達成度がもっとも低い赤色のまま。Sustainable Development Report 2024より

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沖縄沿岸のプラスチックゴミの様子

2.製造事業選定

ハガキの素材は決まったものの、ネットでどれだけ探しても海洋プラスチックを利用したハガキの事例は見つかりませんでした。
そこでダメ元で海洋プラスチック製の雑貨やアクセサリーを製造している企業や個人の方にオリジナルで制作をしていただけないか聞いてみることにしました。製造している方は複数見つかりましたが、そのなかでぜひ一緒に製造をさせていただきたいと思ったのが、鹿児島県南さつま市の福祉施設NPO法人ふうが運営する、障害のあるクリエイター×海洋プラスチックのブランド、fuunoさんです。
fuunoさんは、さまざまな障害のあるクリエイターの方が自立した生活を目指しながら活動の一環としてアップサイクルに取り組んでいます。そういった素晴らしい活動への共感からコラボでの制作を決めさせていただきました。

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fuunoさんが実際に販売しているアクセサリー

 

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3.ハガキ制作

最初にいくつかのカラーでハガキのサンプルを作っていただき、その中でも文字の読みやすさとデザインの観点から、白をベースにカラフルな素材も入れたものを採用することにしました。fuunoさんの方で、材料集めから洗浄、色分け、破砕、成形、仕上げまで特性に合わせてクリエイターの方が作業を分担して製作してくださいました。

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4.スタンプ作業

社内のアートディレクターにデザインを依頼し、オリジナルスタンプを発注。鹿児島から届いたハガキにスタンプを押す作業をオフィスにて行いました。
当初は全パーツ一体型のスタンプを作成したのですが、力が分散してしまい綺麗に押すことができなかったため、パーツを分けたスタンプを再度作成。綺麗に押すには、インクのつけ加減や力の入れ具合などかなりコツがいるため苦戦もしました。失敗したものもありましたが、除光液で一回消してから押し直すなどの再利用をしながらうまく進めることができました。協力してくれた5人のメンバーにも感謝です。

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最初に作成した全パーツ一体型もの(左)とパーツに分けたもの(右)

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内定者インターン生がスタンプを押している様子

再び海洋プラスチックにならないよう、リサイクルも推奨

宛名シールはプラスチック製のハガキ本体と分別して捨てることができるように、はがしやすいシールを採用。また、リサイクルを促す文言も記載しています。

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最後まで妥協しない!切手もオリジナルで統一

ハガキだけではなく、今回は切手もオリジナルで制作しました。社内のアートディレクターに依頼し、海洋プラスチックの被害を受けている海の生き物のひとつ、「ウミガメ」のデザインをあしらった切手にしました。亀は長寿の象徴として日本では縁起のいい生き物ともされているため、年賀状にも合うと考えたのも選定理由の一つです。
デザインを決めたうえで、日本郵便のオリジナル切手作成サービスを利用し、切手を発注しました。

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海洋プラスチックの被害に遭うウミガメ

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ウミガメをあしらった切手のデザイン

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できあがった切手

湘南エリア在住のカメラマンさんによる海での撮影

この取り組みのことをプレスリリースやSNSで発信するうえで、コンセプトがより伝わりやすい年賀状の完成品の写真を撮りたいと考え、実際の海でも撮影を行いました。湘南エリアに住むカメラマンさんが協力してくださり、実際の海洋プラスチックなどを写真に入れながら砂浜での撮影を行うことができました。

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メディアでも取り上げられ話題に

年賀状作りの取り組みに関しては、2025年元旦にプレスリリースを発表。ありがたいことに複数のメディアにも取り上げていただき、年賀状を送付した方以外にも多くの方に知っていただくことができました。

プレスリリース

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000057326.html

メディアで取り上げていただいた記事

coki
https://coki.jp/sustainable/sdgs/43450/

The Green Economy
https://green-economy.jp/article/2025/01/06/877.html

SDGs ONLINE
https://sdgsonline.jp/148647/

最後に

昨今、年賀状の流通量が大幅に減る中、年賀状を送るスタートアップ企業は少なく、ましてやそこに特別なコストや労力をかけるなどなかなか理解され難いことかもしれません。

しかし、あえてこういった取り組みを行うことで、“自分たち自身も社会への配慮を常に意識した1年にしよう”と新年から身が引き締きします思いだったのではないのでしょうか。
また、ハガキをお送りした方はもちろん、この年賀状の存在を知った周囲の方に啓発しながら、一緒に取り組んでいこうという意識づけにも繋がっていると信じています。

これからも周囲の方とともに「社会の発展と、人々の幸せを一緒に実現する。」というvisionを体現した取り組みを行ってまいりたいと思いますので、2025年も引き続き、FUSIONをどうぞ宜しくお願いいたします。