株式会社DeNA SOMPO Mobility
新宅 暁様
FUSIONは、株式会社DeNA SOMPO Mobilityが運営するカーシェアアプリ「エニカ(Anyca)」のプロモーションをご支援させていただいております。
これまで、車好きのユーザーに支えられて成長してきたという「エニカ」。よりサービスを多くの人に使ってもらうために、新しく打ち出したコンセプトとクリエイティブとは。
「エニカ」グロース本部長の新宅暁さんにお話を聞きました。
ーーまず、カーシェアアプリ「エニカ」について教えてください。
新宅さん:
「エニカ」は、累計会員数84万以上のカーシェアアプリです。新型車や高級車のような特徴的な車が1300車種以上揃っており、アプリストアではカーシェアアプリで評価No.1を頂いています。(自社調べ)
ドライバーは、個人やディーラーのクルマに加え、「エニカ」所有のクルマを借りることができます。オーナーは自分の車をシェアすることで、維持費を軽減できますし、ドライバーは高級車からキャンピングカーまで多種多様なクルマを嬉しい料金で楽しむことができる。
車をシェアすることで、双方が「自分らしい自由なカーライフ」を実現できるサービスです。
ーー改めて、今回FUSIONにご依頼するに至った背景や、当時抱えていた課題について教えてください。
新宅さん:
「エニカ」は2015年9月にサービスをスタートしましたが、サービスグロースの裏には、車好きの方々による大きな支えがありました。「2ランク上の車が手頃に乗りたい」というニーズが明確な人にとっては、重宝されるサービスとして評価されていたんです。
そこで、これまでのマーケティングとしては、基本的に顕在層に対するアプローチとして、SEMを中心に広告配信をしていました。
その一方で、今後誰もが車を必要とするときに、第一想起してもらうサービスになるためには、より多くの人に自分ごと化していただく必要があると感じていて。
具体的なプロモーションに落とし込むにあたって、まず力を入れたのがユーザー調査でした。もともと「エニカではコミュニティマーケティングを強みにしていて、オーナーやドライバーの方を集めたイベントを開催していたのですが、コロナ禍でここ数年は開催できていなかったんですよ。
そこで、改めてユーザーと向き合って、N1調査や定量的な調査を通じて、ユーザー像を明確にしたり、「エニカ」がヘビーユーザーに支えられているワケを改めて探っていきました。
その結果として、生まれた新しいブランドコンセプトが、「クルマが変われば、思い出が変わる」。
「エニカ」のクルマに乗る理由を考えたときに、いつもとは一味違うクルマに乗ることで、道中が楽しい思い出に変わったり、同乗者の笑顔が増えたりと、ドライブ体験がアップデートされるという声がありました。
そのコンセプトをベースに、認知向上施策と並行して、インサイトを突いたクリエイティブで獲得を広げていくことにしました。
ーー認知向上と獲得の2軸でのプロモーションを考えていたんですね。
新宅さん:
プロモーションにあたって、よりクリエイティブに強い代理店を探していたところ、FUSIONからお問い合わせのメールをいただいたきました。
私もこれまでの経験上、数多くのデジタル系の代理店とお付き合いをしたことがあるので、良し悪しがあるのは承知のうえで、熱量のある代理店を求めていました。FUSIONからは、その熱が提案段階からすごく伝わってきたんですよ。
我々はまだスタートアップであり、大企業と比較して予算が巨大とは言えないなか、難しい課題に熱を持って取り組んでくださるパートナーかどうかは重要ですFUSIONでは、しっかりクライアントと向き合い、一丸となってサポートしてくださる姿勢を感じました。
代表の前田さん自ら提案してくださり、それがご経験を裏付けされるような内容だったのにも惹かれました。
ーーありがとうございます。次に、新しいブランドコンセプトを踏まえて、実際に行ったプロモーションについて教えてください。
新宅さん:
まず最初に行ったのが、WebCMです。コンセプトをしっかり皆さんに理解してもらい、定着させるという目的を考えたときに、TVerやYouTubeなど、完全視聴率の高いメディアを活用したいと考えました。
「エニカ」は利用者数が大幅に増えるタイミングが年に何回か訪れるのですが、なかでも大きなタイミングがゴールデンウィークと夏休みなんです。そこで今回は、ゴールデンウィーク前にしっかり認知を取るために、WebCMを制作しました。
ーーアニメーションが印象的なCMですよね。
新宅さん:
限られた納期と予算のなかでも、しっかり作り込みたいと思っていて。とにかく多くの車をさまざまなシチュエーションで見せることを考えたとき、アニメーションを選びました。
こちら側がオーダーしたのは、ストーリーラインをストレートに伝えること。それから、ターゲット層である「余暇への投資を惜しまない若者たち」に向けて、そこにフィットするようなアウトドアや旅行などのシーンを見せていくことの2点です。
本当に時間がないなかでの制作だったので、直接スタジオに行き、3〜4時間かけてリアルタイムにフィードバックさせていただきながら完成させたことを覚えています。
現場で話し合いながら意見を固め、スピーディに修正していく…というのをやったことがなかったので、そのスピード感には驚きましたね。
ーー限られた時間内での施策だったんですね。プロモーションの効果はいかがでしたか?
新宅さん:
サービス理解の数値への寄与は見られたものの、WebCMを観てダウンロードしてくれたり、実際に使ってくれたり、ユーザー行動に関する数字は大きく動かすことができなかったです。
あくまで僕らが描いていきたい「エニカが作る世界観」をWebCMに落とし込んだので、新規ユーザーにとっては自分ごと化が難しかったことが反省点です
一方で、ロイヤルユーザーの方々からは、「そうそう、エニカの価値はこれだよ!」という声をいただいたことで、インサイト自体が間違っていたわけじゃないと確信を持てました。
この発見が、夏休みに配信したショート動画施策に続いていきます。
ーーショート動画ではどんなことをやられたんですか?
新宅さん:
前回の反省を踏まえてユーザー行動を引き出すために、TikTokとInstagramのリールで配信しました。
「エニカ」の良さを冒頭1秒でわかってもらえて、アクションを引き出すもの…と考えたとき、ショート動画が最適だと思ったんです。
広告って、本質的にはあまり積極的に見たいものじゃない。それを見てもらうためには、一瞬で「面白い」「これは自分のためのものだ」と感じてもらうことが必要だと思うんですよね。
「エニカ」のユニークバリューは新型車高級車含む1300車種以上の車に乗れることなので、「乗ってみたい!」というユーザー心理にアプローチするために、車に搭載されている面白い機能やテクノロジーをギミックとして打ち出しました。
@anyca_official まるで未来の車にも、エニカなら乗れるんです。この夏は、特別な思い出を作りませんか? #エニカなら乗れる #HONDAe #電気自動車 #レンタカー
動画の内容は、FUSIONから、訴求軸や車種を提案してもらい、それをベースにうちで実際の売上やプライスメリットなどの観点も加味して決めました。
面白いことに、広告で反応がいい車と、「エニカ」での人気上位車種は少し異なるんですよ。ショート動画では、パッと見てバリューがわかることが大事なので、車に詳しい人ではなくても、高級車っぽく見えるものや、オープンカーなどのかっこいい車が人気の傾向にありますね。
ーーさまざまなユーザーインサイトがあるんですね。
新宅さん:
実は「エニカ」の利用者が感じている価値には幅があるんですよ。少し背伸びしたい人はもちろん、同行者を楽しませたいという人もいれば、純粋に強い憧れを持つクルマに乗りたいという人もいる。
ユーザーへの解像度は、まだまだ上げていく必要があると感じています。データ活用をしながら、仮説立てたクリエイティブをしっかり作っていきたいですね。
FUSIONとは、ショート動画のほかに、獲得広告もご一緒させていただいていますが、しっかりインサイトを突いたことで、獲得効率が昨対30%も改善しているんですよ。
ちょっと意外かもしれませんが、今運用していただいてるなかで1番当たっているコピーは「幹事がドヤれるクルマ、あります。」なんです。
ーー幹事、ですか?
新宅さん:
大人数でお出かけをするとき、車を借りるのは大体幹事の方ですよね。
そんなとき、普通の車でみんなを迎えに行くよりも、かっこいい車で来たほうが、幹事としての評価も上がる。これもユーザー調査から見えてきたアイディアの一つでした。
まだまだ工夫できる余地はたくさんあると感じたので、獲得広告の新しい型をもっと作っていきたいですね。エニカにはアプローチができる軸がいくつもあると思うので、それを模索していきたいです。
ーープロモーションのご支援させていただいてから半年ほどですが、FUSIONならではだと感じることはありますか?
新宅さん:
特に運用広告に関して、決められた予算でうまくまわす…と小手先になってしまいがちなところを、サービスを正しく捉えて、根本のユーザー理解をしてくださる代理店って、本当に少ないんですよ。
そのなかで、こちらが気になっているポイントや、ディスカッションしたいことを、いつもFUSIONから先回りしてお話ししてくださるので驚いています。「エニカ」に関する会話を普段から社内でされているんだろうな、と感じますね。
あと、FUSIONは転職者で構成されている専門家集団なので、偏った目線がなくて、各々が媒体や施策に対してとても詳しい。大手代理店から切り替えるときって、媒体との関係値や知識に関する不安が付き纏うと思うのですが、それがまったくないです。
限られた予算のなかでも、FUSIONは大きな改善やいろんなアイデアを出してくださるので、そのお返しとして、僕らとしては大きなリスクを取って、もっと攻めた新しいチャレンジをしていくことも厭わないです。
打率8割じゃなくても、3割でもいいからやりきりたい。「業界初の事例を作る」ような姿勢でご一緒したいですね。
ーーありがとうございます。最後に、今後ブランドとしての展望や目指す姿を教えてください。
新宅さん:
最近ユーザーを見ていてわかったのが、長期というよりも、1日前後で使われてる方がヘビーユーザーには多いということ。純粋に機能を楽しんだり、クラブのように車内の音響を楽しむために借りる方もいるので、移動手段としての代替だけじゃなくて、新しい価値を作っていけると感じています。
また、「エニカは現在多くのユーザーに使っていただいているものの、やっぱり個人の車を使うにあたって、ハードルの高さはそれなりにあると思っています。
今やAirbnbで個人の部屋を借りることにそこまで抵抗はなく、どちらかといえば特別な宿に泊まるために使うイメージがありますよね。「エニカ」もそこに到達するために、ハードルを超えるぐらいの魅力を訴求していかないといけない。
オーナーとドライバーとのマッチ率の向上や、初回の体験を担保するなど、できることを考えていきたいですね。